梵天丸様は実は制服萌えであられる




 「そういえば梵天丸様。ご報告が遅れましたが、昨日やっと看護婦を雇い入れました」

 
   ナースキタ━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!


 おっといけねぇ自重自重。

 「もうか。随分早いな」

 人手が足らないってぼやいてた医者のお兄さんに、看護婦について熱く語ったのはついこの間のことだ。
 帰ったら急いで人を探すって言ってたけど、まさかこんなにすぐに導入されるとは思わなかった。
 話したのはまだオレが部屋を出られるようになったばかりのころだから……えー…4,5日前くらい?

 仕事はえぇぇえええええ!!

 「夫を亡くした者、親を失った者が仕事を探しておりますから」

 あーなるほど。

 親兄弟や旦那が死んでも土地やスキルがありゃ生活していけるだろうが、そうじゃない人だって当然いる。
 特に年齢が低い孤児なんて身の立てようがないし。
 世知辛い世の中だがこれもまた現実だ。社会福祉?ナニソレおいしいの?って感じ。
 働かざる者食うべからずの時代じゃニートなんて言ってられんのだろう。まあオレが第一号になるがな!

 それにしても勤労意欲があるのに働く場所がないのは辛かろう。
 仕事の斡旋とか考えてハロワでも作ろうかな。
 職業訓練校とかもいいかもしれん。職人連中には井戸の一件でちと顔が売れ出したし。

 ………ま、予算が許せば……。


 「採用した人達全員が疱瘡にかかったことがあるわけじゃないよな」

 「ええ。そういった者には患者に直接関わらないような雑用を命じております。
  雇えなかった者には別の仕事を紹介いたしましたから、彼女らも暮らしを立てることはできましょう」
 
 グッジョブ!!
 さすがはお医者さん、顔が広い。口入屋も開業できそうだ。

 女性はともかく、オレも孤児の面倒くらいは見たほうがいいかなぁ。
 女の子は政岡さんに任せて、男の子はウチに来てる職人さん達に仕込んでもらうか。
 午前中読み書き算盤習わせて午後は仕事。
 教育受けさせて手に職つければ今後の伊達領を担う人材の育成ができるかもね。

 にしても何人採用希望者がいたのか分からんが雇用した人は高倍率を抜けてきたエリートなんだな。
 
 「適正がありそうなら教育して医者にしてやったらどうだ。女医とか」
 
 「それも面白うございますね」

 ですよねー!

 別にナース萌えの理由から看護婦や女医を作ろうとしているわけではありませんよ?本当に。
 流行り病で働き盛りの夫や父を失った女性達を救済すべく新たな職業を提案しただけです。
 看護士じゃなくて看護婦だってところに作為なんてありません。ホントだってば。

 伊達家では女性の社会進出を応援しています。
 メイドさんとか女教師とかな。

 「で、看護婦には制服を支給したらいいと思うんだが!」

 デザインはオレ提供で!!

 オーソドックスなナースの制服もアリだが古風なナイチンゲール風も捨てがたいよな。
 どちらにしても当然色は白だ。ここは譲れない。
 薄いピンクなんかもたまに見るが、記念すべき第一号はやはり白でいくべきだろう。
 白衣の天使に患者も癒されること間違いなしだ!

 ぐっと拳を作って制服に対するこだわりを主張しようとしたら、不意に背後から影が落ちた。 
 なんとなーく気温が低くなった気がするようなしないような。
 振り返るべきなのは分かっているが振り返りたくない。

 このなんともいえない雰囲気は……。


 「梵天丸様、そろそろお時間かと」


 やっぱり小十郎か!

 そういやいつの間にやら太陽が向こうのお山の真上にある。
 でも今から佳境に入ろうってとこだったのに……あとちょっとだけ待てない?

 「日が落ちては梵天丸様の御身体にも先生のお帰りにも差し障ります」

 ……確かにあんまり遅くなっても悪いか。

 まあオレも正論を言われて逆切れするほど子供じゃない。
 制服への熱い思いはまた後で語ることにしよう。

 「すまんがああ言っているから続きはまた後でな」

 最近日が長くなってきたとは言うものの、今の時期は油断してるとあっという間に暗くなる。
 月が出ていればまだいいが、夜に出歩くのは本当に危ない。街灯もなけりゃ懐中電灯だってないからな。
 オレは遅い時間に出歩けるような年じゃないけど、ちょっと暗くなると電気の有難さを実感するよ。

 「では、御前失礼いたします」

 「うん。気をつけて」
 
 明るいうちに帰れよー。

 若い医師が深々と礼をしてから下がるのを見送って、ごろりと縁側に転がった。
 小十郎が行儀が悪いと言いたげな顔をしているがそんなの知ったこっちゃねぇ。
 見栄を張るような相手もいないしさー。

 「……お部屋にお戻りにならないのでしたら、羽織をお持ちいたしましょう」

 オレに動く気がなさそうだと見て取った小十郎は、わざとらしくため息をついて上着を取りに行った。
 本来ならこの程度のことは侍女だか下女だか、とにかく身の回りの世話をしている女性に言いつければ済むものなのに、態々自分が行くとあたり本当にマメな奴だな。
 まあ言いつける侍女自体がいないわけだが。

 ……熱が下がったあの日、悲鳴を上げて侍女が逃げ去ってから一度も女の子見てないんだよね○| ̄|_ 

 そりゃ確かに目が飛び出てグロい御面相だけどそれってちょっとヒドくないかい。
 お医者さん以外で会いに来るのは本当に小十郎と佐助と政岡さんぐらいだ。あ、時宗丸もか。
 伝染病のせいで人手不足なのは分かってるが、たまには華ってもんが欲しいよう。

 生活に潤いが足らん。
 次からはお医者さんに看護婦同道できてもらおうかなー……。
 

    _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
  (  ⊂彡
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   し ⌒J


 ……はぁ。
 
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